とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2018/5/21)


2018年5月21日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「白化粧土で装うやきもの」 (14:00~15:45)
 当館学芸顧問である森由美がやきものの技法の一つである、白土による化粧掛けの技法についてお話しいたしました。化粧掛けとは、やきものの土肌を赤や白といった違う種類の土で覆う技法です。古くから行われている技法で、きれいな赤や白の色をみせたり、表面をなめらかにする他、装飾を目的として行われます。

 前半は、世界の白化粧を用いたやきものをご紹介いたしました。白化粧は様々なやきもので利用されており、中国の磁州窯の白地黒掻き落としや朝鮮陶磁器の粉青沙器、日本では唐津や古武雄、伊万里、イギリスではスリップウェアなどが挙げられます。やきものの断面を図示しながら、それぞれどういった効果を狙い、どのような手順で作られたのかご説明いたしました。白化粧というと、有色の粘土を白くみせる効果を狙っているという印象がありますが、粘土が白い伊万里焼では文様の装飾として使用される場合もあります。その作例として、当館所蔵品の中から白磁に白化粧で菊花文をあらわした「白磁 菊花文 猪口」を展示し、近くで見なければ分からない白化粧による繊細な装飾をご覧いただきました。

 後半は、どんな土が化粧土として利用できるかという材料の話題に。ただ単に白い土というだけでは化粧土としては利用できず、土の成分による収縮率や粘性など条件を揃える必要があります。化学式による物質の構造にまで話が及び、保存科学を専攻した森ならではのお話となりました。

 講演はここで一端終わり、その後は森が持参した白化粧作品や化粧土をお手に取っていただきながらのレクチャーとなりました。実物の実見を通して、よりご理解を深めていただけたことと思います。白化粧という、ポイントを絞ったテーマでしたが、熱心な質問が飛び交っていました。

 お客様からは「土の性質がよく分かりこれからの磁器の見方が楽しくなりそうです」「原材料の詳しいご説明があったり、実物を手に取れたりして、大変参考になりました」などのお声をお寄せいただきました。一口に白化粧と言っても、時代や地域、素材、目的によって、その表現は様々であることを感じていただけた講座となったかと思います。



○自由観覧 (15:45~17:00) 貸し切りの館内で現在開催中の『金襴手-人々を虜にした伊万里焼-展』をご自由にご覧いただきました。

 次回のとぐりの学芸員講座は2018年6月11日(月)、当館学芸員/GMの黒沢愛が「魅惑のやきもの、古九谷」と題してお話しさせていただきます。5月22日現在、お席にまだ若干余裕がございます。皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2018/3/12)


2018年3月12日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「三川内焼~網代陶石採掘場跡地を訪ねて~」 (14:00~15:45)
当館学芸員の小西麻美が、現在2階特別展示室『九州のやきもの 三川内焼』で取り上げている三川内焼についてその概要と、関連する陶石採掘場跡地へ赴いた際の様子をお話しいたしました。三川内焼とは現在の長崎県佐世保市三川内で焼き継がれているやきもの。江戸時代、献上品を焼成した御用窯であった三川内焼は、現代においても繊細で優美な作風を継承しています。まずは、三川内地区の窯業のはじまりから、磁器の生産体制の確立にかかわる歴史背景をお話しさせていただきました。次に、三川内焼の技術の発展に話を移します。出展中の作品の画像を交えながら、御用窯として献上に適う上手の物を焼成していたことや、18世紀以降に洗練されていく技術についても触れました。そして19世紀以降には超絶技巧的な細工物などが発展。国内外で人気を博しました。なかなかお話しする機会のない三川内焼の歴史に、皆様興味深く聞き入っておられました。

休憩を挟み後半は、網代陶石採掘場跡地での調査の様子をお話しいたしました。網代陶石とは、今村三之丞が1633年に長崎県佐世保市針尾島三ツ岳にて発見した陶石。この出来事が、三川内の磁器生産のきっかけとなったと伝えられています。
今回は2017年に調査した際の網代陶石採掘場跡地の様子を写真でご紹介させていただきました。なかなか足を踏み入れることができない土地の写真ということもあり、皆様熱心にご覧になられておりました。お客様からは「三川内焼についてより深い知識を得ることが出来ました」「写真による現地報告が楽しく、自分も行ってきたような気分になれました」などのお声をお寄せいただきました。長崎のやきもの、三川内焼により興味を持っていただけた回になったかと思います。



○自由観覧 (15:45~17:00) 貸し切りの館内で現在開催中の『古伊万里にみるうわぐすり展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は2018年5月21日(月)、当館学芸顧問の森由美が「白化粧土で装うやきもの」と題してお話しさせていただきます。皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2018/2/19)


2018年2月19日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「古伊万里入門~所蔵品と陶片にみる歴史と魅力~」 (14:00~15:40)
当館ジェネラルマネージャー・学芸員の黒沢愛が、伊万里焼の基本が分かる初心者向けの講座を行いました。とぐりの学芸員講座は開講以来、テーマを絞った専門性の高い内容を扱ってきましたが、基礎に立ち返る伊万里焼の概説は初めてになります。
まずは、古伊万里と伊万里焼、有田焼という同じようで微妙に異なるそれぞれの言葉の定義を説明し、その上で伊万里焼が登場するまでの日本やきもの史、また、中国磁器の発展の流れや日本への輸出品の変遷を見ることで、やきもの史の中での伊万里焼の位置づけを確認しました。

続いて、当館所蔵品の中から、様々な伊万里焼をご紹介いたしました。それらは染付や色絵、白磁、青磁、瑠璃釉、銹釉という装飾技法によって分類することも、初期伊万里、古九谷様式、柿右衛門様式、古伊万里金襴手様式という時代によって分類することもできます。 装飾技法による分類では、伊万里焼の作り方を通して、それぞれの特徴を簡単に説明。時代による分類では、中国や西欧からの影響を受けながら技術を向上させ、様式の変化を遂げていく伊万里焼の変遷をご覧いただきました。
後半は2階展示室へ上がり、作品と陶片の鑑賞を交えながら各様式を解説。陶片からどういった情報が得られ、歴史を紐解いていけるのかをお話しすると、皆様興味深く聞き入っておられました。解説後は、実際に陶片をお手に取っていただきました。
質疑応答では、九谷焼と古九谷様式の関係や柿右衛門様式の定義、古伊万里金襴手の焼成回数など様々なご質問が活発に飛び交いました。

お客様からは、「なんとなくしか分からなかった伊万里焼の知識をしっかりと頭の中で整理することができました」、「説明が丁寧で分かりやすかったです」、「陶片を手に取ることができとても良かったです」などの声をお寄せいただきました。参加された方の中には、伊万里焼に既にお詳しい方から初心者の方までいらっしゃいましたが、どなた様にも伊万里焼により親しんでいただける講座となったかと思います。



○自由観覧 (15:40~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『古伊万里にみるうわぐすり展』をご自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は2018年3月12日(月)、当館学芸員の小西麻美が「三川内焼~網代陶石採掘場跡地を訪ねて~」と題してお話しさせていただきます。まだお席に空きがございますので、皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2017/12/11)


2017年12月11日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「古伊万里の文様~中国版画との関係~」 (14:00~15:45)
当館学芸員の小西麻美が、古伊万里の文様とそのルーツとして中国版画との関係性についてお話しいたしました。伊万里焼に表された文様は多種多様ですが、それらはモチーフのルーツからいくつかの系統に分けることができます。本講演では、その中でも中国の影響を受けたモチーフについて焦点を当ててお話しいたしました。
中国からの影響と言っても、単に古染付などの中国陶磁から影響を受けただけではなく、中国版画からのモチーフの転用を見ることができます。中国では、萬暦年間(1537~1620)以降になると版画の出版が盛んになり、多彩な画譜が刊行されました。その中でも、特に伊万里焼と関わり深いと考えられているのが明代末に出版された『八種画譜』です。この本は1630年代には既に和刻されており、かなり早い段階で日本に入ってきたと考えられています。講演では実際に、『八種画譜』に掲載されている図版と伊万里焼を並べて見比べ、同じ画題というだけでなく、構図にまで共通点を見ることができました。その類似点の多さに、皆様興味深くスライドを見入っておられました。ただし、紙に表現される絵とお皿という違いもあり、完全に図版と一致するものは見られず、陶工の手によって独自にモチーフの省略や再編成を行っていたことも窺えます。今回は同様に『図絵宗彙(ずえそうい)』からも伊万里焼と共通する画題や構図をご紹介いたしました。しかし、『八種画譜』ほどの類似は見られず、モチーフが絵から文様へと大きくアレンジされている様子が確認できました。
休憩を挟み後半は、当館の所蔵作品とそれに類似する構成の画譜とを見比べました。複数の画譜からどれが1番作品に近似しているかをお客様にお聞きすると、意見が割れ、似ていると判断する観点は人によって異なるという難しさを感じて頂きました。
沢山の作品と画譜を見比べた後は、そもそもどういった経緯で画譜が伊万里焼へと利用されたのか、その理由を考察いたしました。記録のないことも多く、判然としませんが、考えられる可能性とて中国の王朝交代や狩野派の影響、伊万里焼の注文主の依頼などが指摘されました。
質疑応答では、中国陶磁と画譜の関係性の有無や、吉祥文様について、画譜の出版についてなど様々なご質問が活発に飛び交いました。お客様からは、「伊万里焼の見方が少し変わりました」、「中国のやきものを参考にして作られたと思っていたので、画譜を参考にしていることを知り感心しました」、「古伊万里の文様と中国版画との関係がよく分かりました」などの声をお寄せいただきました。当館の普段の解説等でも伊万里焼の文様が中国から影響を受けているとご説明する場面もございますが、今回は実際に作品と画譜を見比べることで、実態としてより深い理解をして頂くことができたと感じております。伊万里焼のデザインのルーツに触れて頂けた回となりました。



○自由観覧 (15:45~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『18世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅱ―展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は2018年2月19日(月)、当館のジェネラルマネージャー・学芸員の黒沢愛が「古伊万里入門~所蔵品と陶片にみる歴史と魅力~」と題してお話しさせていただきます。皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2017/11/20)


2017年11月20日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「染付のはじまり-中国元時代の青花磁器について-」(14:00~15:30)
当館アドバイザー・学芸員の木野香代子が、中国元時代の青花磁器について、そのはじまりとルーツの謎をお話しいたしました。青花磁器とは日本で言う染付磁器のこと。釉薬の下に呉須(ごす)顔料で絵付けをし、青い文様をあらわします。
本講演では、当館所蔵品である「青花 牡丹唐草文 瓶」(元時代 景徳鎮窯)を展示し、皆様にご覧いただきました。その上で青花磁器とは何か、各国ではどのように呼ばれているのか、などといった基本的な部分からお話しいたしました。
続いて、青花のはじまりである中国・元時代に作られた青花磁器(以降元青花と表記します)の発見の経緯を、研究史を交えてお話しいたしました。なかなか目にすることのできない書籍のご紹介もあり、皆様興味深く聞いておられました。
現在までの研究で、青花が元末に景徳鎮窯において誕生したこと、成立当初から技術的にも様式的にも成熟していたことなどがわかっています。一方で、これを誰がどのような経緯で生み出したのか、その技術とデザインはどこからきたのかなど判然としないことも多くあります。
休憩を挟んで後半からは、中国陶磁研究者でもある木野の研究の一端を皆様にご覧いただきました。まずは元青花の誕生について。陶磁器の焼成を司る役所の設置や、近年、景徳鎮窯から元代皇帝専用の文様をもつ製品が出土したことなどにふれ、政治的な要因から元青花誕生の背景を探りました。また、文献資料からも、輸出不振によって宮廷主導で製品開発が行われていたことを指摘しました。
次にデザインについて。元青花は大型の盤や瓶、壺などが多く、それらを区画割りして、緻密な文様を描き埋める構成が特徴です。本講演では、元と交流のあったイスラーム陶器や中国国内産陶器からの影響、文様主題が共通する絵画や挿絵本との関連性など元青花のデザインの元とみられる様々な可能性を多角的にご紹介いたしました。
呉須で絵付けされたうつわは今を生きる私達にとって、身近な存在です。現代まで通じるやきものの技術、デザインのルーツを感じていただけたことと思います。

質疑応答では、元青花に描かれている文様の意味、使われている呉須の成分や運搬方法についてなど活発に質問が飛び交いました。また、お客様からは、「歴史をふまえて文化の流れがわかりました」、「日本のやきものに興味がありましたが、中国のやきものを知ることができ、とても勉強になりました」、「元青花の世界に夢中になりました」などの声をお寄せいただきました。専門用語が多くて難しい中国陶磁にぐっと親しんでいただけた回となりました。



○自由観覧 (15:40~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『18世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅱ―展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は12月11日(月)、学芸員の小西麻美が「古伊万里の文様―中国版画との関係―」と題してお話しさせていただきます。まだ若干名の余裕がございます。
皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2017/10/30)


2017年10月30日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「鍋島焼と江戸の遺跡」(14:00~15:30)
当館ジェネラルマネージャー・学芸員の黒沢愛が、江戸の遺跡から出土した鍋島焼をご紹介しながら、鍋島焼の献上・贈答についてお話しさせていただきました。

まずは鍋島焼そのものについて。現在第3展示室に出展中の「色絵 紅葉流水文 皿」を取り上げ、盛期鍋島の特徴である木盃形や、高台の櫛目文と三方にあらわされた裏文様、大きさの規格性、4色の色遣いを確認しました。また江戸時代後期の文献史料から見える鍋島焼の献上あるいは贈答は、徳川将軍家や幕閣、大名家など、身分の高い人々に向けて行われたことをご紹介いたしました。
その後、話題は江戸の遺跡へ。まずは発掘事例が少ないものの、文献史料と関連のある後期鍋島の事例と、国産磁器の献上のはじまりの様子が垣間見える、江戸城跡。そして上級旗本で、日光奉行や大坂町奉行など重要な役職を務め、佐賀鍋島藩からの直接の贈答が推測される彦坂家。有力な大名である龍野藩脇坂家や、佐賀鍋島藩との姻戚関係の深い宇和島藩伊達家の出土品からは、江戸時代の間に鍋島焼が“伝世”した様子をうかがえました。また、文献史料の研究によれば直接的な献上・贈答が考えにくい町人地から、後期鍋島が出土したことも取り上げ、文献史料や伝世品からだけでは中々知ることの難しい鍋島焼の献上・贈答の一面に触れていただきました。
出土品や文献資料を読み解いていく機会はそう多くないため、内容が難しい点もあったかと思いますが、皆様、大変興味深く聞き入っておられました。講演終了後は展示室で作品「色絵 紅葉流水文 皿」をご覧になられている方が多かったです。現代のみならず、江戸時代より珍重されてきた鍋島焼の姿とそのルーツを辿ることのできた90分だったと思います。



○自由観覧 (15:40~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『18世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅱ―展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は11月20日(月)、アドバイザー・学芸員の木野香代子が「染付のはじまり―中国元時代の青花磁器について―」と題してお話しをさせていただきます。詳細は今展チラシおよび当館HPをご覧くださいませ。まだ若干名の余裕がございます。皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2017/7/3)


2017年7月3日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「館蔵品にみる朝鮮陶磁入門」(14:00~15:30)
当館学芸員の小西麻美が、戸栗美術館館蔵品の朝鮮陶磁を通して、朝鮮陶芸史の概説をお話しさせていただきました。当館では開館当初より朝鮮陶磁を所蔵しておりますが、近年は機に恵まれず、今回単体ケースでの出展にて数年ぶりのお披露目となりました。

朝鮮陶磁入門ということでしたが、館蔵品の性格に従って高麗時代からの解説となりました。まずは朝鮮半島が高麗王朝によって初めて統一されたことや、その後に朝鮮時代が続くことなど基本的な朝鮮半島の時代区分をレクチャーし、作品解説に移りました。
高麗時代は、特に青磁が発達した時代。緑の美しいものや黄色味あるもの、象嵌のものや鉄絵のものなど様々な製品が伝世しています。仏教文化を背景に多様に発達した青磁の魅力を、歴史的背景を交えながら解説いたしました。続く朝鮮時代には、白磁、青花、粉青沙器が発達します。特に高麗青磁から粉青沙器への移行、その後の白磁の広がりという流れは、日本磁器の発展の流れと比較すると独特なもので、皆様興味深く聞き入っている様子でした。
講演全体を通して国教の思想など、国としてあり方が文様や造形に反映されている様子を、作品画像を通じてご覧いただきました。また、朝鮮初期に作られた白磁と伊万里焼との関連性にも触れ、日本の磁器が朝鮮陶工たちによって発生するに至った歴史を改めてご確認いただけたことと思います。

質疑応答では胴継ぎをしているか否かなど朝鮮での製作技術に関するご質問がございました。やはり、朝鮮人陶工たちの技術によって始められた伊万里焼との関係を考えると興味深い点と思います。
また最後には単体ケースで作品をご鑑賞いただきました。出展の「青花 秋草文 瓶」は創設者 戸栗亨が特にお気に入りだった作品のひとつ。作品を前にすると新たなご質問を頂き、解説を交えながら、皆様楽しくご鑑賞されていらっしゃいました。朝鮮陶磁の深さに触れて頂けた90分と思います。



参加者の皆様からは「ただ見るだけでなく、一言でも解説を聞くと、ぐっと興味がわきました」「朝鮮のやきものについての解説を詳しく分かりやすく聞くことが出来て良かったです」というご意見をいただきました。普段の肥前磁器を中心とした展覧会では朝鮮陶磁の出展の機会を作ることが難しいため、美術館にとっても新鮮な会となりました。

○自由観覧 (15:40~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は、次回展覧会「18世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅱ―展」期間中に開催いたします。詳細は次回展チラシおよび当館HPにてご案内申し上げます。皆様のご応募をお待ち申し上げております。


とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2017/6/19)


2017年6月19日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「陶器と磁器 初期の水指が語ること」(14:00~15:30)
開館4年目から5年間常勤学芸員を勤め、現在は当館学芸顧問である森由美が、陶器と磁器の定義付けの難しさについてお話しさせていただきました。

まずは土器、炻器、陶器、磁器という日本のやきものの流れを、写真も交えながら簡単にご紹介いたしました。その流れの中で最後に登場する磁器は、佐賀・有田で誕生。伊万里焼と呼ばれたこれらの磁器は、当初は陶器である唐津焼と同じ窯で焼かれていたことがわかっています。唐津と伊万里、ふたつのやきものの違いを、原料や絵付けの色(唐津は茶色の鉄絵、伊万里は青い染付)などからご説明いたしました。

その上で、「染付 山水文 水指」(『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』出展作品)が陶器であるのか磁器であるのか、に話題が移ります。本作は開館当初からのコレクションであり、森にとっても思い入れのある作品の一つ。胎土は陶器質の粘土で、その上に白化粧、染付によって丁寧に絵付けを施し、釉薬を掛け焼成しています。つまり胎土による分類では陶器ですが、見た目や作った人の意図としては磁器と言え、当館では「伊万里焼」として分類していることを解説いたしました。またこのような作例が生まれた背景として、各窯における原料確保の問題、陶器質の胎土であるからこそ生まれる独特の風合いについて触れました。

質疑応答では、磁器の原料が採れる泉山や、有田と美濃の磁器生産体制の違い、古染付についてなど、様々な質問が飛び交いました。また最後には参加者の皆様同士で感想をお話しいただく時間もございました。 講演終了後も単体ケースに入った作品を取り囲みながら、お互いに感想をお話ししあったり、新たな疑問を投げかけあったりと、皆様いきいきとしたご様子でご鑑賞されていらっしゃいました。

参加者の皆様からは「磁器と陶器の違いなどわかりやすく、大変勉強になりました」「お隣の人と話し合うことをすすめて頂いたのが非常によかった」というご意見をいただきました。 今回の講演で作品はもちろん、やきものへの関心が少しでも深まりましたら、嬉しく思います。



○自由観覧 (15:40~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は、7月3日に開催いたします。まだお席に若干の余裕がございますので、ご希望の方はお早目にお申込みください。皆様のご応募をお待ち申し上げております。