とぐりの学芸員講座を開催いたしました。(2017/6/19)


2017年6月19日(月)、「とぐりの学芸員講座」を実施いたしました。

○講演「陶器と磁器 初期の水指が語ること」(14:00~15:30)
開館4年目から5年間常勤学芸員を勤め、現在は当館学芸顧問である森由美が、陶器と磁器の定義付けの難しさについてお話しさせていただきました。

まずは土器、炻器、陶器、磁器という日本のやきものの流れを、写真も交えながら簡単にご紹介いたしました。その流れの中で最後に登場する磁器は、佐賀・有田で誕生。伊万里焼と呼ばれたこれらの磁器は、当初は陶器である唐津焼と同じ窯で焼かれていたことがわかっています。唐津と伊万里、ふたつのやきものの違いを、原料や絵付けの色(唐津は茶色の鉄絵、伊万里は青い染付)などからご説明いたしました。

その上で、「染付 山水文 水指」(『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』出展作品)が陶器であるのか磁器であるのか、に話題が移ります。本作は開館当初からのコレクションであり、森にとっても思い入れのある作品の一つ。胎土は陶器質の粘土で、その上に白化粧、染付によって丁寧に絵付けを施し、釉薬を掛け焼成しています。つまり胎土による分類では陶器ですが、見た目や作った人の意図としては磁器と言え、当館では「伊万里焼」として分類していることを解説いたしました。またこのような作例が生まれた背景として、各窯における原料確保の問題、陶器質の胎土であるからこそ生まれる独特の風合いについて触れました。

質疑応答では、磁器の原料が採れる泉山や、有田と美濃の磁器生産体制の違い、古染付についてなど、様々な質問が飛び交いました。また最後には参加者の皆様同士で感想をお話しいただく時間もございました。 講演終了後も単体ケースに入った作品を取り囲みながら、お互いに感想をお話ししあったり、新たな疑問を投げかけあったりと、皆様いきいきとしたご様子でご鑑賞されていらっしゃいました。

参加者の皆様からは「磁器と陶器の違いなどわかりやすく、大変勉強になりました」「お隣の人と話し合うことをすすめて頂いたのが非常によかった」というご意見をいただきました。 今回の講演で作品はもちろん、やきものへの関心が少しでも深まりましたら、嬉しく思います。



○自由観覧 (15:40~17:00)
貸し切りの館内で現在開催中の『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』を自由にご覧いただきました。

次回のとぐりの学芸員講座は、7月3日に開催いたします。まだお席に若干の余裕がございますので、ご希望の方はお早目にお申込みください。皆様のご応募をお待ち申し上げております。