4月に入り、桜の花がほころび始め、いよいよ"お花見シーズン到来!"と思っているうちに展示替えを迎え、花見のピークが過ぎてしまった。
あ〜(落胆)今年も、まともな花見(宴会?)ができないままである…。
皆様は、今年の桜をお楽しみになりましたか?
さて、4月5日(土)より6月29日(日)まで、新しい企画展、館蔵「匠の技−やきもの、工芸美の結晶」を開催中です。
館蔵の肥前磁器の中から、<江戸時代の陶工たちの冴えわたる技と美の結晶>に焦点をあて「本当にフリーハンド?器用だね〜」「よくこんな細工を施したね〜!」 といった作品を中心に企画展示している。
「人間の能力はすごいね、底しれないよ」と思う作品の中から、今号のメルマガは、展示№1の「青磁瑠璃銹釉 鷺龍文 三足皿」をイチオシ紹介してみたい。
見込中央の円窓の中には青海波を背景に鷺と蘆を、その周りには雲間を翔る龍を、それぞれ陽刻された文様は、白磁、青磁、瑠璃、銹の釉薬が多彩に施されている。
伊万里焼は磁器の特性を活かして、"食のうつわ"を主に製作している。茶会用に作られたであろう"うつわ"の中には、手の込んだ装飾を施された作品があるが、これらは実際に使用している場面が想像できる。
目にも美しいが、盛り付けても美しい。「この時期なら、春の山菜てんぷら、竹の子の炊き合わせ、白魚も捨てがたい…」と食いしん坊の私はご馳走の世界へトリップする。
しかしっ「青磁瑠璃銹釉 鷺龍文 三足皿」には食欲がわかない。何を盛り付ければいいのか、皆目見当が付かない。かろうじて「菓子鉢だろうか…」と、茶菓子を盛り付けた場面を想像するがしっくりこない。
同じ肥前磁器の鍋島焼には、どこか人を寄せ付けない格調の高さがあるが、この「青磁瑠璃銹釉 鷺龍文 三足皿」には鍋島焼とは違う、"用の美"の領域には入れてはいけないような"箱入り娘"感があるのだ。
自慢の宝を披露するからいらっしゃいと呼んでおいて、「見るだけよ、自分以外は触っちゃあダメ」といったところだ。また、鑑賞中に、製作した陶工たちの魂が「俺達ってスゴイだろ!この三足皿には、なんにも盛り付けちゃあなんねえ!!鑑賞され愛でられるために作ったんだぜィ!!!」と自慢を耳打ちされているような気がしてくる(決して霊感があるとか、幽霊が出るといったことではありません)
筆者の独断の世界に入ってしまったが、百聞は一見にしかず。とにかく、抱きしめたくなるほど愛らしいのだ。是非、ひとめ見てやってください。
皆様のご来館をお待ちしております。