現展示のご案内

初期伊万里展 
併設:朝鮮陶磁


会期:2010年4月4日(日)〜6月27日(日)

《展覧会の概要》
1610年代佐賀県有田町において、日本初の磁器・伊万里焼が誕生しました。一般的には、草創期から色絵が登場する前の、染付を中心とした伊万里焼は“初期伊万里”と呼ばれ、技術的には未完成ながら、やわらか味のある質感、のびやかな雰囲気をもつことが特徴といわれています。しかし実際には、さまざまな作風や技法の作品が見られることから、今展示では、〔概念〕〔生産窯〕〔文様〕〔技法〕〔用途〕などの観点から改めて“初期伊万里”を追究します。併設展示として伊万里焼のルーツでもある朝鮮半島の陶磁器の歴史を展観します。(出展作品数 初期伊万里:約70点 朝鮮陶磁:約30点)

初期伊万里展
今展示では、以下のポイントから、初期伊万里とはどんなやきものなのかご紹介します。

【初期伊万里の概念】
「初期伊万里」とは、日本初の磁器・伊万里焼の草創期から初期にかけての作品、及び初期的様相を示すスタイルを指します。初期伊万里は、鉄分を多く含む粘土や、ゆがんでいびつな形、窯傷・釉剥げ・ふりものなどの瑕瑾があるなど、技術的には完成の域には到達していないものの、しっとりした釉調や柔らかな質感、力強く自由な筆致など素朴な魅力を備えているのが特徴です。
伊万里焼が誕生した1610年代から、色絵も作られるようになる1640年代までが伊万里焼の歴史の中では「初期」に該当しますが、それ以降にも上記の特徴をもった作品があります。

染付 楼閣山水文 鉢
そめつけ ろうかくさんすいもん はち
伊万里
江戸時代(17世紀前期)
口径:35.0cm


【初期伊万里を焼いた窯】
伊万里焼は、佐賀県の有田を中心とする肥前地方一帯で生産されましたが、肥前地方では、伊万里焼誕生より前に唐津焼という陶器を焼いていました。草創期の伊万里焼は、唐津焼のいくつかの窯で陶器と一緒に焼かれていたことが発掘により分かっています。のちには磁器だけを焼く窯も次々と現れました。1637年、鍋島藩によって窯場が整理統合された結果、高い技術を擁する有田の窯場13ヵ所が残され、効率的な生産体制が整い、生産量も上がり、技術が高まりました。

【初期伊万里の装飾技法】
 初期の伊万里焼では、まだ華やかな色絵を作り出すことができなかったため、白地に青い文様が描かれた染付が中心です。そのほか、白磁や青磁、茶色い銹釉、青い瑠璃釉など釉薬に色を付けた作品、あるいは二種類の釉薬をかけわけた作品などもあります。  装飾方法としては、染付では絵筆を用いて絵付けされるだけでなく、呉須顔料をスプレーでかけたような効果の吹き墨技法が使われています。白磁や青磁ではヘラなどで文様を陰刻装飾したり、彫塑的に造形したものを貼り付けている作品もあります。

青磁 菊文 瓶
せいじ きくもん へい
伊万里
江戸時代(17世紀前期) 
高:20.5cm


〔初期伊万里の文様〕

  初期伊万里は、技法の面では朝鮮陶磁の技術をとりいれながらも、文様は中国様を目指したといわれています。実際、中国江西省の景徳鎮民窯で焼かれた古染付や、後には祥瑞の影響がみられ、あるいは八種画譜など中国の挿図絵本から文様の題材をとっている作品もあります。
しかし、日本のオリジナルの文様が描かれている作品もあります。中国様の文様でも、中国の文様を丸写ししている作品はなく、独自のアレンジが加えられています。
文様の種類としては、山水図や菊・牡丹などの植物文、鷺・兎・鹿などの動物文などがあり、多岐にわたります。

〔初期伊万里の用途〕
初期伊万里の作品は大きく2種類に分けることができます。一つは、小皿や碗などの実用食器であり、もう一つは水指や香合などの茶陶です。江戸時代初期に流行した「綺麗さび」の風をうけて、染付磁器も茶陶として扱われるようになり、中国の古染付などとともに需要がありました。伊万里焼の中でも、初期伊万里には茶陶が多いことが特徴です。



染付 楼閣山水蘆雁文 水指  
そめつけ ろうかくさんすいろがんもん みずさし
伊万里
江戸時代(17世紀前期)
高:16.1cm
朝鮮陶磁展
当館所蔵の朝鮮陶磁の中から、高麗時代と李氏朝鮮時代の作品を中心に、その技法や様式の変遷を辿ります。
粉青沙器鉄絵 魚文 俵壺  
ふんせいさきてつえ ぎょもん たわらつぼ
朝鮮時代(15〜16世紀)
高:19.5cm



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