2014年度展示スケジュール

2014年度年間展示スケジュール
空欄

◆2014年4月12日(土)~6月29日(日)

『古伊万里動物図鑑展』


古代より工芸品や絵画のモチーフとして親しまれてきた動物文様。江戸時代、17世紀初頭に誕生した伊万里焼にも、さまざまな動物が描かれています。 器面上に登場するのは、鳥や兎などの身近なもののほか、虎や象のように江戸時代には珍しかった動物や、龍や獅子といった吉祥的な意味を持つ瑞獣たち。同じ動物であっても、写実的に描かれたものから簡略化されたもの、意匠化されたものなど、当時の流行を映し出した多彩な表現を見ることができます。 また、17世紀後半には、文様のみならず動物をかたどった変形皿や置物など、造形的な作品も数多く生み出されました。 今展示では、動物をモチーフとした伊万里焼を図鑑になぞらえてご紹介いたします。動物たちの愛らしく、生き生きとした表情をお楽しみ下さい。


◆2014年7月12日(土)~9月21日(日)

『涼のうつわ―伊万里焼の水模様―展』


今展は、江戸時代につくられた伊万里焼の中から”水”をテーマに取り上げ、暑い夏に一時の“涼”を感じさせるうつわの数々をご紹介致します。
初期につくられた皿や水指などの製品には、当時日本国内で人気の高かった中国製の染付磁器を模倣した楼閣山水文が多く描かれました。沢山の水を湛えた情景は、落ち着いた色調の染付や青味がかった磁肌と相まって、涼やかな趣を呈しています。以降、伊万里焼では、固有の形態をもたない水を、滝文や波濤文、雨文や雪文として巧みに意匠化し描き出してきました。染付の濃淡や型紙刷りなどの技法を駆使してあらわされた水の意匠は、清々しい水辺の空気や、触れた時の冷たさといった“涼”の記憶を呼び起こしてくれます。
また、伊万里焼では水を注ぎ、その水を受けるうつわも作られました。染付の青1色で絵付けされた猪口や水注などは、江戸時代の人々ののどを潤すうつわとしても用いられ、暑い夏の日に涼やかな一服をもたらしたことでしょう。このように様々な視点から、伊万里焼にあらわされた“水”模様をご覧いただく、夏にふさわしい企画展です。


◆2014年10月4日(土)~12月23日(火・祝)

『古九谷・柿右衛門・鍋島展』


我国では近代に至り、食器などの道具としてではなく、また茶の湯の評価からも離れて、陶磁器を美的鑑賞の対象としてとらえる“鑑賞陶器”という観念ができあがります。その中で注目されたのが「古九谷」「柿右衛門」「鍋島」でした。以来、多くの愛好家が誕生し、その研究も進められてきましたが、現在ではこれらはそれぞれ独自の魅力を放ちながらも、密接に連関したやきものであることが分かってきています。
「古九谷」については未だに産地論争がありますが、一部の作品は肥前地方で作られた伊万里焼の初期の色絵磁器であることには疑いありません。中国の五彩磁器の影響を受けて発展した濃厚な色彩、躍動感あふれる大胆な構図の古九谷様式の伊万里焼は、一方では輸出需要からヨーロッパ好みの軽やかな赤の色彩が主役の柿右衛門様式へと展開し、一方では将軍献上用に格調高く仕上げられた鍋島焼に技術が応用されていきました。
 今展示では、肥前磁器の精華「古九谷」「柿右衛門」「鍋島」をご堪能ください。


◆2015年1月6日(火)~3月22日(日)

『江戸の暮らしと伊万里焼展』


 江戸時代前期において磁器は貴重な高級品であり、伊万里焼も主に大名や公家など上層階級の間で用いられました。18世紀後半になると、町人文化の発展や生活水準の向上を背景に、伊万里焼は次第に庶民の生活の中へと普及。茶漬け屋や鰻屋などの身近な料理屋から、会席料理を供する高級料亭まで外食産業が盛んになったこともあり、さまざまな需要に応じた多種多様なうつわを生みだしました。
磁器の普及に伴い、宴席で使用する大皿、手に馴染みやすく使い勝手の良い蕎麦猪口や蓋付茶碗など染付を中心とした食器のほか、化粧道具や文具、ふすまの引手といった食器以外の磁器製品も新たに登場します。 文様では蛸唐草文が大流行。そのほか、東海道五十三次を題材とした文様や、画面いっぱいに日本地図を描いた大皿など、遊び心にあふれた粋なデザインが取り入れられました。
今展示では、江戸の庶民文化を豊かに彩った伊万里焼を中心に、当時の暮らしとあわせてご紹介いたします