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古九谷展
会期:2015年7月4日(土)~ 9月23日(水・祝)



伊万里 染付 双兎文 皿
色絵 牡丹双蝶文 皿
伊万里(古九谷様式)
江戸時代(17世紀中期)
口径35.2cmm

伊万里 白磁 面取壺
色絵 瓜文 皿
伊万里(古九谷様式)
江戸時代(17世紀中期)
口径44.5cm

伊万里 染付 花蝶文 水指
色絵 丸松竹梅文 蓋付碗
伊万里(古九谷様式)
江戸時代(17世紀中期)
通高7.5㎝

伊万里 染付 唐草文 人物鈕茶入
色絵 花果文 面取壺
伊万里
江戸時代(17世紀中期)
高23.5cm




展覧会概要


  江戸時代、17世紀初頭に佐賀・有田において誕生した伊万里焼。草創期には青色で文様を描く染付が大半を占めましたが、1640年代頃には、赤・黄・緑・紫などの上絵顔料が新たに導入され、色彩豊かな色絵製品が生み出されました。これらの初期色絵を「古九谷様式」と呼びます。
 古九谷様式には、実に様々な作風が見られます。中国磁器の幾何学文様を淡い色調で模したもの、中国絵画の画題を鮮やかな色調で描いたもの、また、小袖や屏風絵を思わせる意匠を濃い色調であらわしたものなど。中でも目をひくのは、濃厚な色彩を用いた大皿の存在です。古九谷様式の大皿は、大胆な文様構成と色遣い、密に描きこまれた縁文様や地文様など、それぞれに異彩を放ち、観るものを圧倒する存在感があります。
 古九谷様式と同時代には、色絵以外に染付・銹釉(さびゆう)・瑠璃釉(るりゆう)などの製品も多数つくられました。それらの丁寧な作行を見ると、17世紀中期は色絵の導入だけでなく、成形や焼成技術においても格段の進歩がみられる技術革新の時代であったことがうかがえます。
 今展は、古九谷様式の色絵大皿を中心とした名品、同時代の伊万里焼をあわせて約80点展示。色絵の誕生と技術革新の中で生み出された、17世紀中期の多様な表現をご紹介致します。

展示詳細


◆古九谷様式の特徴


古九谷様式の優品を例にあげ、代表的な3タイプの特徴をご紹介致します。

A. 幾何学文様と吉祥文を組み合わせるタイプ。染付の青、上絵の赤・黄・緑を用いた淡い色調。中国・明代末期、景徳鎮窯の「色絵祥瑞」と呼ばれるタイプを模したと考えられている。

B. 余白を残した構図で絵画的な意匠を描くタイプ。上絵の赤・黄・緑・青・紫・黒を用いた鮮やかな色調。中国・明代後期の「八種画譜(はっしゅがふ)」などから意匠を採り入れたとされる。

C.主文様を大胆に大きく配し、濃厚な緑・黄・青を基調としたタイプ。黒の地文様を伴い、紫が加わる場合もある。意匠や色遣いには、中国・明代末期の景徳鎮窯製の色絵や、同時代の小袖・屏風絵などの影響が指摘されている。
  色絵 牡丹文 松皮菱形皿
A.色絵 牡丹文 松皮菱形皿
伊万里(古九谷様式)
江戸時代(17世紀中期)
口径29.2×18.5cm
  色絵 牡丹双蝶文 皿
B.色絵 牡丹双蝶文 皿
伊万里(古九谷様式)
江戸時代(17世紀中期)
口径35.2cm
  色絵 瓜文 皿
C.色絵 瓜文 皿
伊万里(古九谷様式)
江戸時代(17世紀中期)
口径44.5cm



◆同時代の多様な技法‐染付・銹・瑠璃・金銀彩


 17世紀中期には、色絵以外にも多様な装飾技法が用いられています。草創期より主流であった染付は引き続き多用されますが、色調は鮮やかに、筆致はより繊細な表現となりました。また、銹釉や瑠璃釉は1つのうつわの中で細かく掛け分けが行われるなど、趣向を凝らした装飾に用いられています。1650年~60年頃には金や銀による装飾も加わり、伊万里焼はさらに製品の幅を広げることとなりました。
  染付 樹下群鶏文 手鉢
染付 樹下群鶏文 手鉢
伊万里
江戸時代(17世紀中期)
口径21.8㎝
  銹釉染付 松竹梅文 水指
銹釉染付 松竹梅文 水指
伊万里
江戸時代(17世紀中期)
通高21.3㎝
  青磁瑠璃銹釉 鷺龍文 三足皿
青磁瑠璃銹釉 鷺龍文 三足皿
伊万里
江戸時代(17世紀中期)
口径24.0㎝





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