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古伊万里―染付の美―展
会期:2016年4月5日(火)~6月19日(日)



伊万里 染付 獅子牡丹唐草文 水指
染付 獅子牡丹唐草文 水指
伊万里
江戸時代(17世紀後半)
高16.6㎝

伊万里 染付 兎形皿
染付 兎形皿
伊万里
江戸時代(17世紀後半)
口径15.0㎝

伊万里 染付 鳥形香合
染付 鳥形香合
伊万里
江戸時代(17世紀後半)
通高5.4㎝




展覧会概要


 17世紀初頭、佐賀・有田に日本初の磁器として誕生した伊万里焼。当時日本へ盛んに輸入されていた中国陶磁への憧れから、有田でも間もなく染付の製品がつくられるようになりました。染付とは、器胎に呉須で青い文様を描く技法、あるいはそのやきもののことで、日本では文様を染め付けるところから発想を得て、その名がついたと考えられています。
 伊万里焼の染付と一口に言っても、素朴な味わいのあるものから、青1色とは思えない華やかなものまで、その表現は実に様々です。今展では、変化に富んだ約80点を展示。古伊万里染付の魅力を、時代によって変化する趣、多彩な技法、他色との調和、の3つの観点からご紹介いたします。

展示詳細


■見どころ①―時代によって変化する趣

古伊万里は、現代では美術品として鑑賞されるようになりましたが、江戸時代の人々にとっては実用的なうつわ。そのため時代の要求や流行を取り入れ、次々とその姿を変化させました。また17世紀前期からの約100年間は技術の進歩も著しいものがあり、それは染付製品の変化を見ても明らかです。それぞれの時代の染付の特色をご紹介いたします。

  染付 扇面文 鉢
染付 扇面文 鉢

◇17世紀前期

伊万里焼の草創期にあたるこの時期は技術的に未熟な部分が多く、うつわの表面に灰が付着したり、陶工の指跡が残っているものも少なくありません。しかしそれらが自由闊達で伸び伸びとした筆の運びと、たっぷりとかかった釉薬にふわっとにじむ染付の味わいと相俟って、かえって風情を生んでいます。

  染付 松竹梅文 皿
染付 松竹梅文 皿

◇17世紀中期

 伊万里焼の技術革新の時代。上絵付けをはじめ、薄くて丈夫な素地作り、これまでにない成形技法の獲得など、様々な面で新しい技法が取り入れられました。染付による絵付けの技術も格段に進歩します。肥痩の少ない均一な太さの線を引けるようになり、細かな文様を描き出したり、輪郭線の間を塗り埋める濃(だみ)の技法が発達しました。

  伊万里 染付 鶉木賊文 皿
染付 鶉木賊文 皿

◇17世紀後半

 17世紀後半、染付の技術は頂点を極めていました。線引きはより細く繊細に、自在に操られています。呉須の濃淡を巧みに用いた柔らかな表現や、よりムラの少なくなった濃からは、陶工たちの技術の高さがうかがえます。それらの技術を使って、余白を大きくとった絵画的な意匠が多く描かれました。

◇18世紀以降

 伊万里焼は豊かになった町人層へも生活のうつわとして広まっていきます。食器に加え、化粧道具や文具など新しい器種も生み出されました。量産化へと進む中、文様の画一化が生じます。頻繁に用いられた唐草文様や網目文様を見ると、手慣れた様子で線描きがされており、成熟した職人の技が感じられます。


  伊万里 染付 色紙杜若文 輪花皿
染付 色紙杜若文 輪花皿
江戸時代(17世紀後半)

■見どころ②―多彩な技法

 古伊万里染付では単に線を引くだけではなく、面を塗りつぶす濃やその濃淡を色々と変えたり、吹墨(ふきずみ)といってスプレーのように器面に吹き付けたりと、様々な技法を用いることで、青1色でも豊かな表現を生み出しています。また下記に見るように、白抜きの表現にも掻き落としや型と吹墨の併用があったり、1つのうつわに様々な技法を組み合わせて用いたりしています。

  伊万里 青磁染付 樹鳥文 葉形三足皿
青磁染付 樹鳥文
葉形三足皿
江戸時代(17世紀後半)

■見どころ③―他色との調和鍋島青磁

 染付は、それだけでも十分主役として成立しますが、他の色と組み合わさった時、その味わいはさらに豊かなものとなります。時には青磁釉の青緑色を背景に柔らかな風合に仕上げたり、時には文様を除いた全面に銹釉を施して陶器風に見せたりすることによって、表情は様々に変化します。



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内容を検討し、追ってご連絡いたします。

●PDFファイルをダウンロードしてご覧いただけます。

  『古伊万里―染付の美―展』プレスリリース
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