「柿右衛門」の五色
―古伊万里からマイセン、近現代まで―

■会期:2023年4月8日(土)~6月25日(日)
■開館時間:10:00~17:00(入館受付は16:30まで)
※金曜・土曜は10:00~20:00(入館受付は19:30まで)
■休館日:月曜日・火曜日
■入館料:一般1,200円/高大生500円
※中学生以下は入館料無料。
※上記の内容は予告なく変更となる場合がございます。予めご了承くださいませ。
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 展示リスト


展覧会趣旨


 濁手(にごしで)と呼ばれる純白の素地に、赤・青・緑・黄・金の5色の彩色を基本として優美な絵付けを施した「柿右衛門(かきえもん)様式」は、1670年代の佐賀・有田で完成されました。1660年代以降に本格化する西欧への伊万里焼の輸出を背景に、それまでの濃密な文様構成や濃厚な色合いから、濁手素地を活かした余白の多い構図と明るく爽やかな色調へと変化したものです。輸出先である西欧では大変な人気を博し、ドイツのマイセンをはじめとして写しが製作され、素地の白さや清爽な呈色が独自に追求されました。その後、西欧をめぐる中国との市場競争を理由とした様式変化によって途絶えてしまった柿右衛門様式は、戦後になって12代・13代酒井田柿右衛門父子による「濁手」の復興とともに復活を遂げ、現代にまで受け継がれています。

 今展では、世界を魅了した柿右衛門様式の素地や絵具の「色」に着目し、色絵作品約80点を展示いたします。江戸時代の伊万里焼とマイセン、そして、近現代の「柿右衛門」作品をご堪能ください。



主な出展作品


◇特別展示室 「濁手―誕生と模作、復興―」

 濁手素地は、丁寧に精製を行って鉄分などの不純物を取り除き、釉薬も極力薄く掛けて青みを抑えた純白の素地を言います。
 有田では1650年代には純度の高い白色素地が見られ、1670年代以降の柿右衛門様式の典型作品に用いられます。その技術は18世紀には途絶えてしまいましたが、1953年に至り、12代・13代酒井田柿右衛門父子の探求により復活します。また、18世紀前半に柿右衛門写しをはじめるドイツ・マイセンでも濁手素地の純白は目標とされました。
 古伊万里とマイセン、13代・14代の白色素地を見比べていただけます。

色絵 竹虎牡丹文 皿
伊万里(柿右衛門様式)
江戸時代(17世紀後半)
口径25.0㎝

 濁手素地の純白さが印象的な皿。その白を生かすように空間を多くとり、左方に竹虎文、右方に牡丹文を組み合わせて描いています。口縁に施した縁銹も素地の白さをさらに際立たせています。


◇第1・2展示室 「彩色―基本の5色とバリエーションー」

「五色(ごしき)」とは本来「種々の色」を意味しますが、柿右衛門様式の典型作品における「五色」は赤・青・緑・黄・金の5色。黒または赤の細線で輪郭を描いた後、この5色を基本として着色しています。
また、基本の5色のほか、茶や紫も使用するパターン、黄や金を除く4色または3色、染付による青の併用パターンなども見られます。
 色彩や器種など柿右衛門様式の多様性をご覧ください。

色絵 花鳥文 輪花皿
伊万里(柿右衛門様式)
江戸時代(17世紀後半)
口径22.0㎝

 2羽の鳥と松竹梅を、赤・青・緑・黄・金の5色の彩色であらわした皿。細部まで配慮の行き届いた構図で描いています。


色絵 花鳥人物文 蓋付六角壺
伊万里(柿右衛門様式)
江戸時代(17世紀後半)
通高31.4㎝

 梅樹を愛でる人物、松樹に双鶴、竹に花鳥をあらわした壺。基本の5色に茶色を加えています。同時代には板作り成形による色絵壺は少なく、貴重な作品です。


色絵 花鳥文 皿
ドイツ・マイセン
18世紀前半
口径42.7㎝

 柿右衛門様式の伊万里焼の意匠を元にした大皿。素地の白さもさることながら、基本の5色の発色も鮮やかです。


色絵 人物群像
伊万里(柿右衛門様式)
江戸時代(17世紀後半)
高14.2㎝

 婦人と子ども、犬をあらわした像。掌サイズの群像は珍しいですが、赤・青・緑・黄の4色と広範囲の黒で着色する例は、人物・動物像に多く見られます。



◇第2展示室 「復活―13代から15代までー」

1971年、「柿右衛門(濁手)」は国の重要無形文化財の総合指定を受けました。濁手を含む技術は現代まで受け継がれています。
 13代から15代の色に対する思いを綴った言葉と共に作品をご紹介いたします。

濁手 草花文 蓋物
13代酒井田柿右衛門
通高30.1cm

 一見瓶のようにも見える蓋物。濁手素地に赤色を主体とした地文様が鮮やかです。




同時開催


◇第3展示室「江戸時代の伊万里焼―誕生からの変遷―」

 江戸時代初頭に誕生した伊万里焼は、技術の発展や時代の変化に合わせて様式も移り変わっていきます。年代毎の様式の変遷を追いながら江戸時代の伊万里焼を通観いたします。


◇やきもの展示室「柿右衛門窯のうつわ展」

 柿右衛門窯では、江戸時代から約370年続く伝統を守り、次世代に残していくために製作を続けています。今回の展示では、当主である15代酒井田柿右衛門の濁手作品1点のほか、伝統文様を施した錦手や染錦手の皿、鉢など柿右衛門窯製のうつわを中心に、約30点を展示いたします。



本展会期中の催し物のご案内


◇展示解説 『「柿右衛門」の五色―古伊万里からマイセン、近現代までー』の見どころ

 2階展示室にて、主な出展作品の見どころをご紹介いたします。
■4月15日(土)・6月10日(土) 各日14:00~(約45分)
■参加料無料(入館券を別途お求めください)
■予約不要


◇ラウンジ&ギャラリートーク「彩色にみる古伊万里・マイセン・近現代の『柿右衛門』」

前半は1階ラウンジにて古伊万里・マイセン・近現代の「柿右衛門」作品の彩色の特徴を概説し、後半は2階展示室にて展覧会の展示解説を行います。
■5月15日(月) 14:00~(約120分)
 ※当日は13:30に開館いたします。
 ※終了後は17:00までご観覧いただけます。
■先着30名様
■参加費 一般1,500円(税込)(入館券を別途お求めください。)
年間パスポート会員1,200円(税込)
※年間パスポート会員ご同伴者(1名まで)につきましては、入館料は無料となりますが参加費は一般料金1,500円(税込)を頂戴いたします。
■要事前予約
 ※下記予約サイトからお申込みください(受付開始4月8日10:00~)。
 《ラウンジ&ギャラリートーク予約サイト》
  https://airrsv.net/toguri-reserve/calendar/
※ご予約の受付は終了いたしました。何卒ご了承ください。


◇特別講演会 15代酒井田柿右衛門氏による「柿右衛門の世界」

15代酒井田柿右衛門氏にご登壇いただき、出展中の自作品等の解説や、作陶における絵具へのこだわり等についてお話しいただきます。
■5月28日(日)14:00~(約45分)
■参加費無料(入館券を別途お求めください)
■予約不要


◇アート&イート 戸栗美術館×シェ松尾・松濤レストラン

戸栗美術館にて所蔵品のご鑑賞後、シェ松尾・松濤レストランにて佐賀県産の食材を使ったフレンチをご堪能いただけます。詳細は、チラシ(右)をご覧くださいませ。
■5月3日(水・祝)・4日(木・祝)・5日(金・祝)
各日10:30/11:00/11:30開始
■戸栗美術館にて、作品を手に取っての鑑賞会および学芸員による展示解説を行います。
■シェ松尾・松濤レストランにて、佐賀県産の食材を使ったアート&イート特別メニューをご提供いたします。
 ※ワンドリンク付(シャンパン又はノンアルコールスパークリング)
■各日各回先着5名様
■参加費20,000円(税込)
■要事前予約
 予約開始 2月16日(木)10:00~
 ※下記予約サイトまたはお電話(03-3465-0086/専用回線)にてお申込みください。
《アート&イート 戸栗美術館×シェ松尾予約サイト》
https://airrsv.net/toguri-event/calendar/
 ※アレルギーやご不明点のある方は、お電話にてお問い合わせ・お申し込みください。




●プレス・広報ご担当の方へ
プレスリリースに掲載の作品および展覧会ポスター画像データをご用意しております。また、メディア関係者の方のご取材を随時承っております。ご希望の方は下記までお問い合わせください。

●PDFファイルをダウンロードしてご覧いただけます。

  『「柿右衛門」の五色―古伊万里からマイセン、近現代まで―』プレスリリース
  写真借用申請書

【お問い合せ先:公益財団法人 戸栗美術館】
TEL:03-3465-0070
FAX:03-3467-9813